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熊本地方裁判所 昭和58年(わ)129号 判決 1983年6月24日

裁判所書記官

馬場昭二

本籍

熊本市健軍町二、二四一番地二五

住居

右同所

遊技店経営

高野皐月

昭和七年五月二八日生

主文

被告人を懲役六月及び罰金三〇〇万円に処する。

右罰金を完納できないときは、金一万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から三年間懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、熊本県菊池市大字隈府二二三番地において、パチンコ店を経営しているものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を正規の帳簿に記載しないで除外する不正手段により、所得の一部を秘匿したうえ、

一  昭和五四年分の総所得金額は一、一四九万九四一円で、これに対する所得税額は二七八万三、二〇〇円であるにもかかわらず、昭和五五年三月一四日、熊本市東町三番地一五所在の熊本東税務署において、同税務署長に対し、総所得金額は一五六万一、八一〇円であって、これに対する所得税額は七万五、六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により昭和五四年分の正規の所得税額二七八万三、二〇〇円との差額二七〇万七、六〇〇円を免れ、

二  昭和五五年分の総所得金額は一、五九六万八、六〇二円で、これに対する所得税額は四七七万三、八〇〇円であるにもかかわらず、昭和五六年三月一六日、前記熊本東税務署において、同税務署長に対し、総所得金額は三〇八万八、三六〇円であって、これに対する所得税額は二九万六、四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により昭和五五年分の正規の所得税額四七七万三、八〇〇円との差額四四七万七、四〇〇円を免れ、

三  昭和五六年分の総所得金額は六、七一六万八、五〇八円で、これに対する所得税額は三、六一一万九、一〇〇円であるにもかかわらず、昭和五七年三月一三日、前記熊本東税務署において、同税務署長に対し、総所得金額は三、五〇七万四、六三二円であって、これに対する所得税額は一、五四〇万九、六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により昭和五六年分の正規の所得税額三、六一一万九、一〇〇円との差額二、〇七〇万九、五〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

本件記録中の証拠等関係カードの標目番号で表示する。

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  1ないし5、9、11、17ないし19、24、25、28ないし31、33、40、43、45、48、49、51、52、55ないし65、73ないし75、81、84、87ないし103

一  押収してある青色申告書綴(昭和五八年押第六〇号の四)

判示一の事実につき

一  10、13、14、21、42、44、46、53、54

一  押収してある五四年度元帳一冊(同号の一)、所得税の確定申告書(同号の五)

判示二の事実につき

一  6ないし8、12ないし14、20、22、23、27、34、36、41、42、44、76、77、80、82、85

一  押収してある五五年度元帳一冊(同号の二)、所得税の確定申告書(同号の六)

判示三の事実につき

一  6ないし8、12、15、16、20、22、23、26、27、32、34、35、37ないし39、47、50

一  押収してある五六年度元帳一冊(同号の三)、所得税の確定申告書(同号の七)

(法令の適用)

判示各所為 所得税法二三八条一項(但し、判示一及び二の各所為については昭和五六年法律五四号による改正前の同法二三八条一項を適用する。懲役刑及び罰金刑選択)

併合罪の処理 懲役刑について刑法四五条前段、四七条本文、一〇条により判示三の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑について同法四八条二項により各罰金を合算する。

労役場留置 同法一八条

執行猶予 同法二五条一項

訴訟費用の負担 刑事訴訟法一八一条一項本文

(出席検察官 畠山光太郎)

(裁判官 酒匂武久)

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